2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

犬養道子「花々と星々と」を読む31~40

犬養道子「花々と星々と」を読む31 それが、椿の咲きつくして、桃や桜の咲く季節になると、再び開けられました。「なにィ、クモォ? 平気じゃい、平気じゃい。ヒヒヒ」脳のてっぺんから湧き出るような、甲高い声の人が谷間の部屋にやって来たからです。 古…

犬養道子「花々と星々と」を読む21~30

犬養道子「花々と星々と」を読む21 古い本の少なくない書棚の中に、ひときわめだって古ぼけた一冊があります。著者は大町桂月、書名は「伯爵後藤象二郎伝」(伝記叢書 大空社)。 一葉の写真にぶつかると、道子はそのまま長い間、動きませんでした。うら若…

犬養道子「花々と星々と」を読む11~20

犬養道子「花々と星々と」を読む11 1910(明治43)年5月25日大逆事件(「日本の労働運動」を読む47~48参照)の宮下太吉検挙が開始され、やがて幸徳秋水(「日本の労働運動」を読む27参照)も逮捕されました。秋水が法廷で「いまの天子は、…

犬養道子「花々と星々と」を読む1~10

犬養道子「花々と星々と」を読む 1 犬養道子「花々と星々と」上下(大活字本シリーズ 埼玉福祉会)は著者の自伝的随筆で、中央公論社から1969(昭和44年)出版、1973(昭和48)年増補版が出されました。著者は1932(昭和7)年の五・一五事…

城山三郎「男子の本懐」を読む31~40

城山三郎「男子の本懐」を読む31 1930(昭和5)年11月下旬、井上は恒例の製造貨幣試験に立会い、あわせて銀行大会などに出席するため、関西へ赴きました。 財務省―トップページー検索―製造貨幣大試験について 政府の政策として、労働者の権利伸長の…

城山三郎「男子の本懐」を読む21~30

城山三郎「男子の本懐」を読む21 1927(昭和2)年4月20日田中義一(「凛冽の宰相 加藤高明」を読む30参照)政友会内閣(組閣中田中は井上準之助に外相就任を要請したが、彼が辞退したため首相が外相兼任、蔵相は高橋是清元首相)が成立(「官報…

城山三郎「男子の本懐」を読む11~20

城山三郎「男子の本懐」を読む11 帰国した年の10月、井上は検査役となり、星ヶ岡茶寮で毛利千代子(華族毛利家の娘)と結婚式を挙行しました。 THE CAPITOL HOTEL TOKYU―レストラン&バー 1900(明治33)年12月25日熊本の第九銀行(安田銀行・…

城山三郎「男子の本懐」を読む1~10

城山三郎「男子の本懐」を読む 1 城山三郎「男子の本懐」(「城山三郎全集」1 新潮社)は「週刊朝日」[1979(昭和54)年3月23日号~同年11月20日号]に連載されたノンフィクション小説で、第27代首相浜口雄幸と彼の盟友井上準之助蔵相の生涯…

平塚らいてう自伝「元始、女性は太陽であった」を読む41~50

平塚らいてう自伝「元始、女性は太陽であった」を読む41 ここへ来てから半月ばかり後、11月号の「青鞜」と野枝さんからの厚い手紙が届きました。その手紙の内容は、大体つぎのようなものでした。 「自分がつくった雑誌があまりに不出来なので、自分にあ…